南が風邪をひいた日から



「えーっとじゃあ、この問題を…」





南の様子がおかしい。









教科書を片手に授業する南はいつも席順で生徒を当てる。







でも…







「…えっと…沢田!」


「は、はい」







なんで!??






「今日一回もあてられてない…((ボソ」







思わず漏れた不満に、すかさず福原がくいつく。







「南、お前のこと避けてね?」


「なっ…!……福原もそう思う…?」


「だって前まであんなにしゃべってたのに、ここ最近ぜんっぜん話さねーじゃん」


「だよねぇ…変だよねぇ!?」


「お前…告ったのか?」


「なっ!!そんなことするわけないじゃん!ただ…」


「ただ?」











えっと…手を握った…だけ











頬が赤く染まっていくのが自分でもわかる。











「あ?なに照れてんだよ、言えよ」


「…もう、なんでもないってば!!!!」






ガタッ!!!!










私は気づけば教室中に響き渡るほどの大声を出していた。









クラスメイト達は目を見開き、驚いた顔をして私に注目している。







福原は笑いをこらえるのに必死だ。











「あ…えっと…」












ふと、南を見ると南は軽蔑するような目でこちらを見つめていた。













なんでそんな目…するの?












「…と、トイレ行ってきます」











いてもたってもいられなくなり、私は教室を飛び出した。