「熱ありますね。よくまぁこんな高熱で…」
駅を出てすぐにあった診療所に向かうと
南の様子を見たお医者さんがすぐにベッドに回してくれた。
「まぁ、しばらく寝かせましょう。貴方も、ゆっくりしていってください」
「あ、ありがとうございます」
南は目を瞑りながら苦しそうな顔をしている。
大丈夫かな…
私はそっと南に近づいた。
「南…?」
南はうっすら目をあけ、私を見た。
「…島崎…」
その目はかすかに揺れていて…
「大丈夫。私はずっといるから…」
思わず、手を握った。
南は少し驚いた顔をしたが、やがて優しい笑みを浮かべ目を閉じた。
「……っ…」
なんで?
自分のいまの気持ちとは合わない涙がこぼれ落ちる。
南の手を握って、南に笑ってもらって
何が悲しいのよ
「南には…彼女がいるのにね。」
叶わないのに、どんどん好きになる。
私は南の手を握りながら、1人でこっそり泣いたんだ。
