「それにしても、さとしくんのお母さん遅いなぁ…」
「ん?なんや、置いて行ってもたんか?」
「うん。しばらく見ててくださいって。」
「…ほぉ」
1時間の休憩をもらった私は、南とさとしくんの三人で休憩所にいた。
「さとしくん、お母さんどうしちゃったかわかる??」
それを聞くとさとしくんはふるふると首を横に振った。
「どうしよう…一応休憩所にいますねって別れる前に言っといたんだけど…」
「放送してみるか?」
「うん、そうする。さとしくん、行こ?」
「あ!ママ!!」
「ん?」
さとしくんが駆け寄った先には先ほどの女の人がいた。
「智!!ごめんね!!!」
迎えに来てくれたんだ。
「よかったー!よかったね、南!」
南?
「みな…「どういう事や…」
え…?
「……直…人…?」
南の姿に気付いた智くんのお母さんは、顔が青ざめていった。
「どういう事やって聞いてんねん!!!!!!!」
その怒鳴り声に、驚いた智くんは泣き出してしまった。
周りの人も、驚いて南を見ている。
「智くん、おいで」
泣き出してしまった智くんをあやしながら、南を見るが南はただただ智くんのお母さんを睨みつけていた。
「…違うの、あのね今日来たのは…あなたに会うためで…」
「何を今更……
ほんまに…ありえへん。」
「南!!!」
バタン。
どういう事…?
「…すいません、皆さんすいません。」
智くんのお母さんは涙を流しながら周りの人達にそう謝っていた。
あんな南…初めて見た…
「…あの…」
「あ…ごめんなさいね…。私ったら…実の息子にあんなに嫌われてしまって…」
「南先生の…お母様なんですか?」
「……はい。」
この人が…南のお母さん…
「…今日はあの子に会いにこの文化祭に来たんです。
ここで英語の先生をやってるって聞いてね…
もう10年以上、あの子には会ってなかったから今更だとは思ったんだけど…
どうしても、謝りたくて…」
聞きたい事がたくさんある。
でも…聞けるわけなかった。
あんな悲しそうな南初めて…
「あの…」
「はい。」
「…実は…私…」
…え?
