ガラリと職員室の扉を開けると、あの独特のコーヒーの匂いが広がった。
「失礼します…南先生は…」
「ん?」
私の声を聞いたのか、職員室の奥から南がヒョコっと顔を出した。
「み、南!!!」
「おう、なんや」
ど、ど、どうしよう
なんかすごくドキドキして、声が…
「え、えっと…その…」
あ、あれぇ…?
南ってこんなにかっこよかったっけ…
「…なんやねん。用無いならおっちゃん帰るで。」
「あ、いやその!!き、来てね!!!」
勢い余って帰ろうとする南の手を掴んでしまい、余計ドキドキMAX。
だ、だめだああああああ!!
「…来てって…どこに?」
「い、1年5組に!!!!縁日、やるから!!浴衣も、レンタルできるよ!!?学生じゃなかろうと関係ない!!さ、さぁ君もお祭り気分に!!!」
…やらかした…(笑うところ)
私…何進◯ゼミみたいな事…
「あ、いやー…だからそのぉ…」
「ぶっ!!あははははは!!!あかんわ、やっぱお前おもろいな(笑)」
「え。ちょ、ちょっと!こっちは真剣に!!」
「あははは(笑)あーおもしろ(笑)うん、行くわ(笑)楽しみにしてる」
引かれたかと思ったけど、南が大笑いしてくれて私も緊張が解けた。
「うん!!絶対来てね!!」
「おう(笑)縁日やるんか。やから浴衣着てんねんな。」
ゆ、浴衣…
そうだ、忘れてて!!浴衣着てたんだ私…
「そ、そうなの!どう?!似合う?!」
「うんうん、馬子にも衣装馬子にも衣装。」
「それ褒めてんの」
「ははは(笑)褒めてるわ、アホ(笑)嬢ちゃんナンパされんようにな。」
「なにそれテキトー。」
はいはいと南は笑いながら席に戻って行った。
なんか嬉しい。
すごく嬉しい。
南の笑顔は世界一かっこいい。
そんな恥ずかしいことも、今なら直接言える。
そのくらい恋をした私は素直だった。
