あ…そっか。
別に用なんてなかったけど南と話したかったから問題集もなんにも持ってきていなかった。
「あ…えっと…」
どうしようとソワソワしていると、その様子に気付いた南は
「ん。とりあえず入ろか。」
そう、優しく笑って職員室の扉を開けてくれた。
あーーーもう。
夏休み入る前はもっとちゃんと話せたのに…
「んで、どしたん?」
椅子に腰掛けた南は、隣の空いてる椅子に私を座らせてくれた。
「えっと…と、特に用はないんだけど…」
「ほぉ。」
あーーーなんて言ったらいいんだ…
チラッと南を見ると、南は不思議そうに首をかしげた。
か…可愛い…
「そ、その…南に…会いたくて」
気づいたら自分でも驚くくらい恥ずかしい事を言っていた。
その言葉を聞いた南の頬が薄く赤く染まって行く。
「…そっか。んーとなぁ…」
はずかしそうに目を逸らす南が愛しくて仕方がない。
こんな照れ方するんだ…
「お前なぁ、そんなん軽々しく言うたらあかんで。男はアホやねんから。」
聞き覚えのあるセリフをこちらを照れ臭そうに見ながら言う南。
もう、私は止められなかった。
「…だって、会いたかったんだもん。ちょっとさみしかった…」
好きだよ、南。
そんな顔見せられたら…余計好きになっちゃうよ
「そっか…まぁ…夏休みは部活の付き添いとかで外出てる事多かったからな…
でも明日からは普通におるし。またいつでもおいで。」
「うん。」
私…ずるいかな。
南には彼女がいるって分かってる。
だけど、私も好きになっちゃったんだもん。
諦めたくないよ…
