「そんなこと軽々しく言うんじゃありません。あんたはモテるんだから。」
そう言いながら持っていたノートで福原の頭にチョップする。
こいつはこんな事をサラーっと言っちゃうもんだから困ったもんだ。
「…別に、みんなに言ってるわけじゃないし。」
「へいへい、どうも。」
南の事を好きになる前だったら、きっと福原に夢中になっていたかもしれない。
だけど…
そんな言葉も、南には叶わなかった。
「ん…?」
外をぼーっと眺めていると、校門から南らしき男性が歩いてくるのが見えた。
「あ!!!」
もう、周りは見えていなかった。
私の声に驚いた教室にいたクラスメート達が私に注目していたけど、そんなのはもうどうでもいい。
ただ、南に会いたいという気持ちが強かったんだ。
