好きだ。





『今日は素晴らしい天気に恵まれ……』



ついに、この日がやってきた。




待ちに待った…運動会。




「…あ。いた。」





1ヶ月ぶりに見る南は、パーマを掛け直したのか、前よりもフワフワとした髪になっていた。





「なんか…久しぶりだなぁ…」






南に会えた事が予想以上に嬉しくて、なんかすごくドキドキしていた。









「沙奈、調子いいねー!!全部一位じゃん!」


「ありがとう!」


「これだとリレーも期待できますな♪」


「どうも(笑)」







今日の私が調子いいのも、南に会えたおかげなのかな…






私…南の事結構気に入ってるのかも。










「…うしっ、話そう。」






そう心に決め、南に近づいて行く。







南に近づくたびに、どんどん胸がきゅんとして





鼓動が強くなって…








やっと、話せるんだ。









「みな…「南ーー!」






私の声に被せて聞こえたのは







「おぉ、七滝。」







麻美だった。






「私、1位だった!」


「お!すげーやん!さすがやな(笑)」


「へへへ♪」






楽しそうに話す2人。






前は…私に向けられていた笑顔なのに。








「…馬鹿みたい」








話そうとか、会いたかったとか






私、何考えてんの。







自分だけって…勝手に自惚れて…










「沙奈ーーー!リレー始まるよーー!」



「あ、うん!今行く!」







ダメだダメだ、集中しなくちゃ!!





南なんてどうでもいい!あんな奴知らない!




麻美にでも誰にでもデレデレしと…







「きゃ!!!!」



「沙奈!???」






「いっ…た…」



「ここ段差注意って書いてるじゃん!もー。痛い?」



「痛い」



「捻挫してる…沙奈、リレーやめときな。」



「え!でも…」



「これじゃあ走れっこないよ…補欠に頼んで走ってもらおっか」







…でも…









『私、1位だった!』


『お!すげーやん!さすがやな(笑)』


『へへへ♪』








………負けたくない。




「ううん、へーき!」



「え、でも足…「任せて」







負けたくない。






麻美には…絶対。