親愛なる母へ




『え……?あ、すみません』


言ってから、しまった、と思った。

差別的に聞こえてしまったに違いない。

しかし精神病棟と聞いて、うろたえてしまうのも事実だった。


『勘違いしてました。すみません』


亮は彼女の方に体を向けて、頭を下げる。


『いつもきちんとした格好をしてるから。ほら、俺を見てくださいよ。一日中パジャマで』


そう言ってパジャマの裾を掴んで見せると、彼女はようやく、うつむき加減だった顔を上げた。