散歩でも行こうか、と連れ出して、病棟の外の花壇に沿って、ゆっくりと歩く。 「疲れたら言って」 亮がそう言うと、彼女はうつむいたまま、小さく頷いた。 まださっきのことを引きずっているらしい。 彼女は落ち込むと、長い。 しかしそういうところも亮は愛しく思っているのだが、彼女にはちっとも伝わらない。 「あ、見て。あのベンチ」 そう言うと、彼女はようやく顔を上げる。 「懐かしいね。座ろうか」 少し表情が柔らかくなったのを見て、亮は彼女の手をそっと引いた。