親愛なる母へ




「なんだか久しぶり。学校忙しい?」


彼女はそう言って、控えめに笑う。

淋しかった、という気持ちを、うまく隠せていない。

亮は彼女の年齢を知らないが、これまでの話の流れからすると、どうやら30歳後半かそれ以上だ。

それよりもずっと若く、いや、幼く見えるのは、彼女の性質か、それとも病気がそうさせているのか、亮は量りかねていた。


「ちょっとね。色々あって」


答えながら、彼女の傍のベッドに腰掛ける。


「ふふ。彼女でもできた?」


こんな時だけ大人らしく笑う彼女を、亮は軽く睨む。


「怒るよ」

「だって……」


口を尖らせる表情は、やはり幼い。