親愛なる母へ




うつ病と、本を読めないこととが、亮の中で最初は繋がらなかった。

うつ病は脳の病気で、神経の伝達がうまくいかなくなっている状態なのだと、亮はそれ専門の本を読んで初めて知った。

集中力が著しく低下したり、健康な頃に好きだったことをうまく楽しめなくなるという。

以前は読書が好きだと言っていた彼女も、病気を患ってからそれが楽しめなくなった。

それどころか、無理に読もうとすると体調に異変をきたす。

それがこうして、たとえ漫画でも目を通すことができるようになったということは、彼女の病状が快方に向かっていることを示していた。