沈黙を続ける携帯電話を見て、独り言をこぼす。


「電話してみよっかな……」


言ってみると名案のような気がして、未央子はギターをスタンドに戻した。

携帯電話に手を伸ばす。

しかしそれと同時に、マナーモードのままだった携帯が、テーブルの上でガタガタと動き出した。


「一葉!?」


慌てて画面を見ると、そこには知らない携帯電話の番号が表示されていた。

一葉ではない。

それならば。


「久保さんの携帯?私、兵藤です」


ごくり、と唾を飲む。

そして、慎重にこの名を述べた。


「はい。久保未樹の娘です」