親愛なる母へ




「もしライヴやることになったら、亮も観に来てくれる?」

「ああ、行くよ。未央子がほんとにギター弾けるのか確かめないとな」


亮の意地悪に、未央子は瞬時に表情を変える。


「何それ、ひどーい!あたしが口だけって言いたいの!?」

「だって見たことないもん」

「もー!絶対ライヴやってやる!」


未央子は乱暴にボタンを押して、メールを打っていく。

怒りにまかせて打ったのは、久しぶりのメールだというのに、『ライヴやりたいから連絡ちょうだい!』の一文だった。