親愛なる母へ




未央子自身、逃げるようにしてサークルを辞めてきただけに、面白くない気分になっていた。

サークル活動に励んでいる亮への嫉妬と、勝手ながら、自分の知らない生活を持っていることへの嫉妬だ。


「あたしもサークル続けたかったな」


責められる筋合いなどない亮に向かって、口を尖らせる。

亮は未央子の身勝手さに苦笑いしながらも、正直過ぎるその感情表現をおもしろがって見ていた。


「バンドか。他に仲間いないの?あちこちで楽器持ってる奴見るけど」

「んー。探せばいるのかなぁ。とにかくあのサークルとは関わりたくない」


あの男を思い出したのか、未央子は顔を歪めて舌打ちする。