未央子自身、逃げるようにしてサークルを辞めてきただけに、面白くない気分になっていた。
サークル活動に励んでいる亮への嫉妬と、勝手ながら、自分の知らない生活を持っていることへの嫉妬だ。
「あたしもサークル続けたかったな」
責められる筋合いなどない亮に向かって、口を尖らせる。
亮は未央子の身勝手さに苦笑いしながらも、正直過ぎるその感情表現をおもしろがって見ていた。
「バンドか。他に仲間いないの?あちこちで楽器持ってる奴見るけど」
「んー。探せばいるのかなぁ。とにかくあのサークルとは関わりたくない」
あの男を思い出したのか、未央子は顔を歪めて舌打ちする。


