親愛なる母へ




青すぎる空を、手をかざして見上げる。

今日も暑くなりそうだ。

未央子は朝のキャンパスをのんびりと歩く。

ふと顔を横に向けると、グラウンドが見えた。

まだ一限目も始まっていない時間に、人影がある。


「……亮?」


疑い半分の気持ちで、その道を折れてグラウンドへ向かう。

グラウンドを走っていたのは、ハーフパンツにTシャツ姿の亮だった。


「亮ー!何してんのー?」


走っている以外にないのだが、亮がこうして走っていることを見るのが初めてどころか、亮が長距離選手であることも知らなかった未央子は、それらをひっくるめて問う。

スピードを緩めながら未央子の姿を捉えた亮は、片手を上げて応える。

そのまま周回して、未央子のいる場所に辿り着き、フェンスに向かってきた。