親愛なる母へ




「“手がかり”、利用しなきゃね。持ち出してくれた、かわいい従妹のためにも」


未央子が顔を上げて言うと、亮も安心したように微笑んだ。

そして同窓会名簿に手を伸ばす。


「大き過ぎて、どこから手をつければいいのかわかんないくらいだな」


パラパラとめくると、この時世、電話番号や住所の空欄が目立つ。


「片っぱしから電話する?」

「うーん……。それしかないよね」


一学年分だが、100人以上は名前がありそうだ。

不毛でも、今はそれしか手段はない。