未央子は、その頭の良い従妹を見つめる。

もっと普通の形で、親戚として会えたなら、仲の良い従姉妹同士になれただろう。

そう思うと、残念な気がしてならなかった。


「ありがとう」


それでもやはり、会えてよかった。

微笑む未央子に、少女も無邪気に笑いかける。


「おねえちゃんみたいなかっこいい従姉がいるってわかって、うれしかったよ」


そして未央子にだけ聞こえるように、耳に口を寄せる。


「かっこいい彼氏もいるし」

「えっ……」


彼氏じゃない、と否定しようとするが、一歩下がった彼女がにこにこと手を振るから、何も言えなくなる。


「また会えるといいね」


大きく手を振ってバイクを見送る少女のことを、未央子もまた誇りに思った。

思いがけず会うことのできたかわいい従妹を思いながら、タンデムシートの上、未央子はこの出会いに感謝した。