親愛なる母へ




戸惑う未央子に、少女は続ける。


「さっき電話もらった後、お母さんとお父さんが話してるのを聞いたの。伯母さんは、お父さんの二つ上。この中に、二つ上の兄弟がいる人とか、知ってる人がいると思う」


聡明そうな、切れ長の目が、わずかに細められる。


「何も無いよりいいでしょ」


未央子の手に、それを押しつける。

しかし簡単には受け取ることができない。

それを見て、少女はおどけて言う。


「プライバシーとか、あたしまだ子どもだから、よくわかんない」


そして、今度はぐっと大人っぽく微笑む。


「悪いことには使わないって信じてる。それに、この前新しいのが来たの知ってるんだ。捨てるものだもん、返さなくて平気だよ」