路肩に停めておいたバイクの元へ戻り、未央子はつぶやくように言う。


「おじさんがいるなんて、知らなかったな。じゃあ、いとこもいるかもしれないんだね」

「親戚に会ったことは?」

「母方は、おじいちゃんとおばあちゃんだけ。あたしが小さかったから、覚えてないだけかもしれないけど」


未央子は記憶を手繰り寄せるように宙を見つめるけれど、やがてゆるく首を振った。

そして再び、手元のメモに視線を落とす。


「おじさんの家に電話しておかないとね」


緊張しながら、携帯電話のボタンを押す。

それでも隣に亮がいるおかげで、気持ちを強く持てた。