親愛なる母へ




「どこに住んでいるかわかりますか?」


真剣な目で問うと、彼女は視線を宙にさまよわせ、小さく手を叩く。


「ちょっと待ってね。確か、九回忌の時のお礼状が来てたから」


家の奥へと消えていく彼女の背中を見送ってから、未央子と亮は顔を見合わせる。

こんなにも早く、手がかりらしきものを掴めるとは思っていなかった。

母親の兄か弟に、もうすぐ会える。

彼はきっと、母親に繋がっているに違いない。