親愛なる母へ




遅れて隣に並んだ亮を見上げて、未央子は言う。


「今思い出した、この図書館で絵本読んだこと」


赤茶色のレンガに覆われた平屋の建屋に目をやり、そして公園へと視線を流していく。


「ここの公園でも遊んだ。おじいちゃんの家、そこを曲がってすぐだよ」


そして通りの先を見つめ、ゆっくりと足を進める。

亮はバイクを押して、未央子に続いた。