親愛なる母へ




黒のライダースジャケットと揃いのグローブを身につけた指が、キーを回す。

サイドスタンドを払い、クラッチを握ってスターターボタンを押すと、バイクは低く唸り声を上げた。

亮がまたがってから、未央子もステップに足をかけ、タンデムシートにまたがる。

亮の腰に腕を巻きつけ準備が整えば、亮はスロットルを回し、バイクはゆっくりと動き出す。



二人の旅が、始まった。