親愛なる母へ




ヘルメットを被りながら、未央子はちらりと亮を盗み見る。

無造作にセットされた色素の薄い短髪に、同じく色素の薄い目、整った顔立ち。

すらりと背が高く、初めて見るが、半袖から伸びる腕は筋肉で引き締まっている。

何かスポーツをやっているのかもしれないと、未央子は想像する。

性格は少し意地悪である一方、さりげなく優しい。

出会ってわずかのこの間にも、その優しさに幾度も救われた。

前に出るタイプではないが頼りにしたくなるのは、落ち着いた物腰のせいだろうか。


「準備できた?」


黒のフルフェイスのヘルメットから、涼しげな目元で未央子を見る。


「うん」


盛りのついた女子大生は、こんな男をきっと放っておかない。