親愛なる母へ




「はい。未央子の」


未央子の前に、アイボリーホワイトのジェット型のヘルメットが差し出される。

亮が今朝、品揃えの悪い近所のバイクショップで、運良く見つけたばかりのものだ。

新品のヘルメットを見て、未央子は首を傾げる。


「あたし専用?」

「ああ。俺、普段は人乗せないから」

「ふうん」


興味がないように装って返事をしたが、未央子は内心では得意な気持ちになる。

未央子の目から見て、亮はたぶん女にもてる部類だ。

そんな男のタンデムシートを、うらやむ者は多いだろう。