親愛なる母へ




未央子は、父親の仕事の都合で、高校時代をイギリスで過ごした。

その事実だけでも周囲は好奇の目を向けるというのに、彼女の風貌がそれに拍車をかける。

金色に輝くショートヘアとロックテイストのファッションが、未央子のトレードマークだ。

小柄な体と、幼さの残る顔立ちに、それらは一見ミスマッチに思えるが、未央子に限ってはよく似合っていた。

それゆえ、人目を避けることは難しい。

派手な身なりに白い目を向ける者と、自分のスタイルを貫く強さに密かに憧れを抱く者、それら両方の視線が、キャンパスを歩く未央子に無遠慮に注がれていた。