幸い、未央子の今日のファッションはダメージジーンズのパンツスタイルだが、


「スカートだったらどうしてくれたのよ」


本当は躍っている気持ちを隠し、急な予定変更に口を尖らせて抗議する。


「悪いな。場所聞いて気が変わった。向こうで足が無いときついと思って。……でも、半袖はまずいか」


未央子の全身を見渡した亮は、羽織っていた薄手のシャツを脱いで未央子に渡す。


「俺はジャケットあるから。今日はこれ着てて」

「えー。暑いじゃん。別にいいよ」

「駄目。着てろ」


有無を言わせぬ強い口調に、未央子は渋々袖を通す。


「はは。でかいな」


指先も出ないほど余った袖を、亮が数回折り上げてやる。

子どものような扱いに未央子は頬を膨らませるが、亮の匂いのするシャツに包まれると、どうにもいつもの調子が出ない。