親愛なる母へ




砂場の親子が、手を繋いで公園を出ていく。

それを見送って、亮は口を開いた。


「会えないって、決めつけてない?」


未央子は顔を上げる。

見つめる亮の目は、真剣だ。

そのあまりの力強さに、未央子は動揺する。


「だって、会えるわけないよ。どこにいるかも……生きてるかどうかも、わからないのに」

「探したことは?」


未央子は首を横に振る。

そもそも、今までに一度だって会いたいなんて思ったことはない。