親愛なる母へ




「あの人は、どんな気持ちであたしに手を上げてたのかな」


かつては、そんなことは知りたくもないと思っていた。

どんな理由があるにせよ、子どもに手を上げていいはずはない。

しかし、今は違った。

それを知ることができたら、連鎖は止められるかもしれない。

いつか自信を持って、子どもを持つことができるかもしれない。


「会いたいよ……」


涙に濡れた声は、未央子自身が戸惑ってしまうほど、切なげに響いた。