未央子は確かに、知っていた。 この目の色を、涙を、手の温もりを。 それは、自分が確かに母親に愛された、記憶だ。 髪をすく細い指の感触が、心地良い。 未央子はそっと目を閉じた。 『お母さん』 声に出して呼ぶことはできない。 だから、心で呼ぼう。 「あたしは大丈夫だから……」 忘れていい。 もう、苦しみ続けた過去から解放されて、 「ありがとう……」 楽になって、いい。