親愛なる母へ




「ちゃんと、受け取ったよ。でも……遅いよ」


未央子は、テーブルに散らばる封筒と便箋をかき集めて、胸に抱いた。


「会いたかったなら、会いに来てよ!」


手紙を書くよりも、会いに来てほしかった。

合わせる顔がなかったなどという言い訳は聞きたくない。

母親なら、憎まれても会いに来るべきだ。

そしてその口で、その声で、伝えるべきだ。


「愛してるって……言ってよ……」


手紙がくしゃくしゃになるのもかまわず、力の限り、それらを抱きしめた。

母を抱きしめることができなかった分、強く、強く。