親愛なる母へ




未央子は確かに、母親に愛されていた。

それを知り、受け入れることができたことが、何より大きい。

愛された事実、ただそれだけで良いとさえ思った。

だから自分もきっと、我が子を愛することができる。

可能性に賭けて子どもを産むような真似はしたくないが、未央子はきっと、母親になることを、もう怖れない。

それは、未樹が確かに、未央子を愛したからだ。

その愛が、10年以上の時を経て、未央子に届いたからだ。