親愛なる母へ




きっかけは、自身の妊娠疑惑だった。

母親になるかもしれないという状況に置かれ、それを現実的に考えた時、自分にはその自信が全く無いことに気付いた。

それは幼い頃に母親に虐待をされたためで、自身がそれを繰り返すことを怖れたからだ。

だから、その理由を知る必要があると思った。

しかしその答えは、母親に辿り着いた今も、わからない。

母が心の病気だったのは確かだが、病気がそうさせたとは、決して言い切れない。

それは、病気を理由に、虐待を正当化することに等しいからだ。

だから真相はわからない。

しかし、この母親探しに意味が無かったわけではない。