『探すだけ無駄だよ。きっとどこかで気ままに暮らしている。私達のことなんて忘れてね』
叔父の言葉を思い出す。
現状はまさに彼の言う通りだ。
しかしそれが悪いことだと、今の未央子には言い切れなかった。
忘れられたことは、悲しいし、憎い。
しかしそれ以上に、彼女が生きたこの数年は、話に聞くだけでも過酷だった。
自分がそれに耐えられるようには、到底思えない。
以前の未央子なら、一生罪を背負って生きるべきだと言っただろう。
しかし、今はもう、同じことを思えなかった。
それは母への同情か、自分がいくらか成長したためか、未央子にはわからない。
