親愛なる母へ




診察を終えて出てきた未央子は、無表情のまま、亮の隣に腰を下ろした。

亮は、さして興味もなく眺めていた女性週刊誌を閉じる。


「どうだった?」


そう問うも、


「出てから、話す」


ぽつりとそう言った後、未央子は口を閉ざし、宙の一点を見つめていた。

その横顔からは、ここに入る前の儚さが消えている。

亮はひとまず安心して、会計が未央子の名前を呼ぶのを待った。