親愛なる母へ




彼女のために、できることは。

彼女がかつて、自分に見せた欲求はただ一つ。


『会いたいよ……』


彼女の願いを、叶えよう。

それこそが、自分の使命だ。

記憶を失っていても、最愛の娘を前にすれば、きっと未樹は、彼女とわかるに違いない。

そして、願わくば自分を。



その使命感は所詮、自らが罪から逃れたいという下心。

そんなものは、何も、誰も、救わない。

何かを壊し、誰かを傷付けるしか、ない。