彼女のために、できることは。 彼女がかつて、自分に見せた欲求はただ一つ。 『会いたいよ……』 彼女の願いを、叶えよう。 それこそが、自分の使命だ。 記憶を失っていても、最愛の娘を前にすれば、きっと未樹は、彼女とわかるに違いない。 そして、願わくば自分を。 その使命感は所詮、自らが罪から逃れたいという下心。 そんなものは、何も、誰も、救わない。 何かを壊し、誰かを傷付けるしか、ない。