彼女から、大切なものを奪いすぎた。 自由と、そして、記憶と。 大切な人だったのに、守れなかった。 大切な人だからこそ、その罪は重い。 『亮君』 曇りのない瞳が、見上げる。 あまりに綺麗で眩しくて、直視できないのは、この身が汚れ過ぎたからだ。 体の横に垂れた手を、握り締める。 爪が食い込む。 その痛みが、念を押す。 この微笑みを奪うことは、二度と許されない。