親愛なる母へ




会いたいのに会えなかった今までとは違う。

彼女は今、会おうと思えば会える場所にいる。

けれど、会ってはいけない。

“会わない”方を、選ばなければならない。

こんなことなら、“会えない”ままの方がよかった。


「それなのに、どうして亮は、あたしを……」


こんなところまで、連れて来たの。

その言葉は、喉の手前で涙に飲み込まれて消えた。