なぜ、あの時感じた違和感に注意を向けられなかったのか。 握ったこぶしの中に、爪が食い込む。 亮と一葉のぎこちない対面は、一葉の人見知りがそうさせていると思っていたが、突然の再会に驚いたためだったのだ。 「ああ、未央子を探していて、辿り着いた。イギリスにいることを教えてくれたのは、一葉ちゃんだ」 その言葉を聞いて、急激に頭に血が上る。 浮かぶのは、一葉の頼りない笑顔。 あの裏に、隠されていたものがあったなんて。 一葉が自分に隠し事をしていたなんて。 手が、震える。