親愛なる母へ




背中をさする手のひらが、熱い。


「ゆっくり息して」


吸って、吐いての言葉に合わせて呼吸をしていると、徐々に落ち着いてくる。

本当に、うまく呼吸ができていなかったらしい。

いつの間にかしがみついていた亮の胸から顔を上げると、涙でにじんだ視界の向こうに、いつもより余裕のない表情の亮がいた。

心配そうに覗き込む目に、すがってしまいそうになる。

しかしこの人は、


「どうして……」


優しいこの人は、


「どうしてもっと早く、教えてくれなかったの」


未央子と母親の間に延びた糸を、引き寄せて、そして切った。