会いたいと、思っていた。
最初に未央子を突き動かしていたのは、憎しみだった。
ずっと自分を苦しめ続けていた母の幻影と、決着をつけるためだった。
母がどれほど身勝手で、残酷だったか、それを知ることができれば、自分は彼女とは違うのだと言える気がした。
我が子を虐待する母親の血が、確かに流れていても。
しかしやがて、未央子の中の母親の像が歪み始めた。
愛情に溢れる母の影、我が子を大切に愛する母の影が、未央子を惑わせる。
だからまた、会いたいと思った。
自分は愛されていたのかを、確かめるために。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…