親愛なる母へ




しかし、それはなぜか。

未央子は一度、冷静さを取り戻す。

なぜ亮は、未央子に母親を探させたのか。

わざわざまわりくどい方法を取ってまで。

未央子がここまで辿り着いたのは、たまたま運が良かっただけと言っても良い。

何かが欠ければ、今はない。

途中で行き詰まったり、止めることも充分考えられる。

なぜそのようなリスクがある中、亮はこの方法を取ったのか。

未樹が娘に会いたいと言ったのなら、強引にでも未央子を連れて行けば済む。

拒否されると思ったのか。

自分から会いに来てもらわないと意味がないとでも言いたいのか。