親愛なる母へ




未央子は頭を振る。

親子ほど歳の離れた二人に、関係も何もあるものか。

その考えを追いやってから、未央子は口を開く。


「その頃から、亮はお母さんの娘が“長坂未央子”だって知ってたの?あたしと会う、ずっと前から」


それを言って、また一つの疑問が生まれる。

大学での二人の出会いは、未央子が失恋して泣いていたところに、亮が声をかけた時だった。

亮の方から。


「知ってて、あたしに声をかけた……?」


あの出会いは、偶然ではなかった。