親愛なる母へ




母が、この場所にいた。

しかしその隣には、亮もいた。

母と同じ場所にいることを喜んでいいはずなのに、それができなかった。

今まで母の面影の中には決して存在しなかった亮という存在に、未央子は混乱していた。


「さっきも言った通り、俺、この病院の外科に入院したことがあって。その頃、未樹さんもここの精神科に入院してた」


そんな偶然があるのかと、未央子は信じられない気持ちになる。

しかしそれが現実だ。


「それで、知り合った……?」


確認するようにつぶやくが、しかし引っかかることがある。


「その“未樹”って人があたしのお母さんだって、どうして知ってるの……?」


未央子の記憶に残る限り、今日まで一度も、亮の前で“未樹”という名前を口にしていない。