親愛なる母へ




亮の肩を掴んだ未央子の手に、亮の手が置かれる。

未央子の逆上がわずかにおさまり、力を緩めた。


「ちゃんと話すよ」


悲しげに揺れる目が、未央子に向けられる。

未央子は再び、亮の隣に腰を下ろした。

そして膝の上で、冷静になれと自身を叱咤するように、拳を握る。

感情的になっていては、真実は見えにくい。

自分は真実を知るために、ここまで来たのだ。

深呼吸して、再び亮に視線を移す。

すると亮は、小さく笑った。


「懐かしいな。未樹さんもそこに座って、この角度で、俺を見ていた」


しかしいくら覚悟していても、心臓が縮むのを止めることなどできない。