親愛なる母へ




亮は看護師に、これで失礼するとあいさつをし、一方看護師も、何かに納得した様子で頷いた。


「待ってよ、お母さんはここに」

「いないんだよ」


未央子の言葉を珍しく強い口調で遮った亮は、未央子の腕を掴んでドアの外に出る。

すると内側から看護師が鍵をかけ、小さく頭を下げて、奥へと消えていった。

エレベーターと、鍵のかかった扉の間で、未央子は立ちつくす。

いったい何が起きているというのだろう。