やがて、ナースシューズの音が聞こえてきて、先ほどとは違う、ずいぶんと年配の看護師が顔を見せた。

彼女が亮に気付くと、親しみの込められた笑顔を向ける。

まるで、昔からの知り合いのように。


「あら、亮君の知り合い?……まあ、知り合いでもおかしくないわね、二人とも久保さんのお見舞いなんだから」


その言葉を聞いて、未央子はようやく我に返る。


「母が……久保未樹が、ここにいるんですね?」


掴みかかるように看護師の腕を掴むと、彼女は一瞬たじろいで、困惑の表情を浮かべる。


「母……?」


事態を飲み込めない様子で、彼女はふらふらと揺れる瞳で未央子を見つめる。