未央子は、信じられない気持ちで、目の前の男を見上げた。 状況が全く把握できない。 辺りに視線を移しても、白い壁が余計に頭を混乱させる。 やがて未央子の口からこぼれ落ちた声は、自分でも驚くほどに、震えた。 「なんで亮が、ここにいるの……?」 そこにいたのは、今の未央子にとって最も身近な存在。 そして、一緒に母親探しをしてくれた、亮だ。 「なんで……?」 未央子はもう一度問う。 しかし亮は、目を伏せる。