親愛なる母へ




彼女には、淡い色が良く似合う。

今日は、薄い桜色のサマーニットを着ていた。

彼女の持っている服の中で、それは亮が最も好きなものだと、かつて伝えたことがある。

特別な外出の今日、彼女がそれを選んでくれたことを、亮は密かにうれしく思ったものだった。

彼女も自分を憎からず思っていてくれる程度でいい。

自分を男として見てくれて、そして少しでも必要としてくれれば、亮にとっては彼女の傍にいる理由として充分だった。