親愛なる母へ




長い階段を駆け下りると、さすがの亮も息が上がった。

額の汗を手の甲でぬぐい、露店の一つで、冷やされたペットボトルを二本買う。

ふいに彼女の笑顔がちらつき、ついでに隣の露店でアイスキャンディーも買った。

食べたそうに見ていたから、喜んでくれるに違いない。

亮は弾む足取りで、階段を上る。

最上段に辿り着くと、一際強い風が吹きつけた。

思わず目を閉じて、再び目を開ける。

青空と、眼下に広がる街並みが飛び込んでくる。



それだけだった。