親愛なる母へ




ここに来られてよかったと、彼女は満足げに目を細める。

いつもより晴れやかな彼女の笑顔を見て、亮は、彼女をここに連れてこられて、本当に良かったと思った。

こうして外の世界に出ることが、彼女の病状を良くするのかもしれない。

主治医に願い出て、これからも積極的に外へ連れ出そう。

同伴はもちろん自分が務めるし、バイクがあるから遠くへも行ける。

大学入学と同時に取った免許で、レンタカーを借りてドライブだってできる。

ずっと病院に閉じ込められていた彼女を、色々な所に連れて行ってやろう。

きっとそれは、とても楽しい。